輪郭線(2/4)・・輪郭線の意味

大まかな輪郭線を目安として描き始め、観察を重ね、段階を追って、見えてきたものを
描き込んで行きますが、
描き込みが進み、線の密度が出てくると、最初に描き入れた輪郭線は、重ねたタッチに埋もれて
見えなくなってきます。

そこで、見えなくなった【輪郭線】を、より強い線で描き起こそうとしてしまう場合があります。

しかし、目の前のモチーフを見てみると、そこに輪郭線と同じような黒いラインが
実際に見えているケースは、非常に少ないはずです。
デッサンは、見えるものを捉えて表現することによって、その空間のリアリティを人に感じさせようとするものです。
見えていない輪郭線を残してしまって良いのでしょうか。。


輪郭線とは、線で囲んであるからひとつのものだ…という【約束事】によって
人にその画面を理解させようとする【記号】のようなものと言えるのではないでしょうか。
見えたとおりに描いて伝えるのではなく、【約束事】に基づいて伝える…のでは、
その画面は【説明図】のようなものだと考えるのは大げさでしょうか・・・

そんな考え方は別としても、実際の問題として、輪郭線が入ってしまうと、
かなりしっかりと陰影・明暗を観察して、ていねいな調子を入れてあっても、
そのデッサンから空間や立体を感じにくくなってしまうのは事実です。


それは、実際にない線が描かれているからという事以上に、
一本の線は、微妙な調子の変化よりもずっと強く目に入ってしまうために、
せっかく描き込んだ明暗や陰影などを弱め、感じにくくさせてしまうからです。

また、同じような調子で表わされた面は、同じような角度や位置関係を感じさせるのと同様に、
同じような強さ、太さ、色合いの線は、それらがひとつの平面上に繋がっているかのような
視覚効果を与えます。

そして、シルエットの輪郭に当たる部分は、その立体の実際のかたちの上では、空間的な位置関係が同じではなく、
シルエット上の輪郭部分には、実際のかたちでは一本に繋がったラインは存在していないことが
ほとんどだと思います。

そのため、時間をかけてしっかりと描き込んだ調子の変化よりも目立つ、【輪郭線】が、
本来の空間的な位置とは無関係に、全体をひとつの平面につなぎ止めて見せてしまう…
という結果をもたらしてしまうのです。


更に大きなモンダイは、実際にはないはずの輪郭線を描き込んでいるということは
じつは、本当はその部分がどうなっているのか、を、【観察していない】事を示している!という点なのです。
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by hiratsukadessan | 2010-10-22 01:35 | デッサン技法