鉛筆硬度の使い分け(2)

一般的に、デッサンの描き始めには、2B〜3B程度が適していると思います。
構図を決め、配置を探り、かたちの大まかなアタリを取る作業の段階です。

この段階では大まかな線を用い、細部の描写はしませんから、
芯は柔らかめのものを使って、軽い筆圧で、大きなタッチを描くようにします。

ここでは、あとで修正を行なうことや、上に線を描き加えていく事を考えなければなりませんが、
描き始めの白い画用紙に対して、薄い線では、目安になりにくく、
そのため、硬い鉛筆を使うと、どうしても筆圧が高くなり勝ちで、画用紙の目を潰してしまったり、
画用紙に跡を残す事が多くなります。

しかし、最初は、かたちや位置を探るアタリの線や補助線など、多くの線を使うので、
軟らかい5B、6Bとなると、それらの線が重なり黒くなり過ぎ、最終的に明るい調子を出したい部分などに
余分な暗さが出て、調子の幅が狭くなることに繋がりやすいです。

従って、描き始めは、後の作業がしやすいように、中間程度の鉛筆を使用します。

その後、ある程度かたちを描き込む段階までは、このまま進め、
全体に大きな調子を入れる段階になれば、少し柔らかめの鉛筆に変えて、大きな調子をつけると良いでしょう。

大きな調子を入れる際は、細かい面の変化は無視して、大きなタッチで調子を作ることになるので、
この時の線は、粗いものになります。
この粗い線が最後まで残ると、微妙な表現の邪魔になる場合がありますから、
上に重ねる線にうまく溶けこんでタッチが消えていくようにするには、柔らかめの鉛筆が
適しています。また、後に練りゴムの効果も出しやすいです。

基本的に、硬めの鉛筆は画用紙の目を潰しやすいので、硬い鉛筆を多く重ねて作った調子は、
その上に軟らかい鉛筆を重ねても、それ以上の暗い調子が出にくくなります。
そして、硬い鉛筆のタッチは、軟らかい鉛筆よりも練りゴムが効きにくいという面もありますので、
ベースとなる作業には、硬い鉛筆を使う事は避けた方が良いです。

仕上げに近づいて細部の描写が多くなると、細かい表現には、硬めの鉛筆の方が向いています。

また、(1)に書いたように、軟らかい鉛筆で作った調子の上に、
少し硬めの鉛筆のタッチを重ねる事によって、更に深い調子を出すこともでき、
つまり、軟らかい鉛筆による調子に、硬めの鉛筆を重ねる事で、
より微妙な調子の変化を作り出すことが可能になります。

ですから基本的な流れとしては、軟らかめの鉛筆で描き始め、調子を入れ、
段階を追って、硬めの鉛筆で仕上げて行く…というようなものになりますが、
実際は、描き込みが進むと、素材感・質感、色合い、量感、奥行き、等、様々の表現のために、
鉛筆の硬度を使い分け、その効果を活用することになります。
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by hiratsukadessan | 2010-10-27 03:25 | デッサン技法