クロッキー(2)

クロッキーでは、動きによって変化するかたちを観察することによって、
対象となるモデルの構造や、かたちの特徴をつかむ事を基本とします。
デッサンとの違いは、動きやポーズの違いによる全体のバランスの変化の観察にあります。

かたちの「バランス」とは、具体的には、各部分の、全体に対する大きさ、全体の中での位置になります。

これを正しく捉えていないと、全体としてのかたちや動きが、狂ってしまうことになりますので、
細部に囚われず、大きく全体を観察することが大切です。
これは当然、デッサンの場合にも同じですが、クロッキーでは、短時間の作業で、
修正などの時間が少ないため、更に注意が必要です。

何枚か描いて目が慣れてくると、同じ時間でも余裕が出て来て、ある程度細部の描き込みも
できるようになってきますが、
常に細部にこだわらず、まず全体のバランスを見て捉えていくということを、
しっかりと意識するようにします。


クロッキーでも、補助線を使用する事は有効です。
簡単にさっと、目安になる線を入れながら全体のバランスを見て行くことにより
早く適切にかたちを捉える事ができます。
例えば、人物であれば、両肩を結ぶ線、首や頭部、身体の中心軸、正中線など、
部分の位置関係や角度、大きさの目安を確かめる線を入れながら、観察すると良いでしょう。

このような補助線などは最後まで残っていても構いません。
気になるようでしたら、補助線は少し弱めになるように線の強弱を工夫しましょう。

基本的に、クロッキーの場合は、余分な線、間違った線なども、練りゴムなどで消す事はせずに、
必要な線を上に載せて進めていきます。これには時間的な問題もありますが、
細部や画面の仕上げにこだわらずに大きく観察し描写するための方法でもあります。


デッサンのように、ゆっくりとかたちを測って位置を決めてから線を入れていくというのではなく、
クロッキーでは、アタリを取るとしても簡単に、素速くポイントを押さえて、描いていきますので、
観察しやすいように、どの部分から描き始めるのかも重要になります。

特に人物の場合、必ず頭部から描き始めるという癖のある人が多いですが、
これは少し考え直すべきです。
頭部や顔には、目が行きやすいものですが、全体のバランスを捉えるという点から考えると、
場合によっては、例えば、肩を先に決めて、頭部をその後で描き入れたほうが
大きさや角度を正確に取りやすいとか、
全身を画面に適確に納めるためには、腰の位置から描いて行く方が良いことも、
背中のラインや、両足の位置から描き始めた方が良いこともあります。

全体的に観察するためにどこから画面に描いて行くのが適切かは、ポーズや角度によって変わってきます。
時間が短いからこそ、冷静に、まず対象の全体を観察してこれを見極める事が大切です。


様々なポーズを描写することは、作品のヒントや題材をみつけることにも繋がると思いますが、
いずれにしても描く事によって観察するのが目的ですから、
画面を調えるようなことは考えずにどんどん手を動かして描いて下さい。
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by hiratsukadessan | 2010-12-29 02:47 | デッサンの用語