ガラスを描く(2)

(1)の続き・・・・


大切なことは、まず、ガラスそのものを見る…という意識を持って、観察することです。

ガラスのかたちの中に見えてはいるけれども、ガラス越しの背景は、
ガラスそのものではありませんし、映っている周辺も同じです。

ガラスそのものを観察する…ためのヒントとして、
例えば、置かれている透明なガラスの器を横から見た場合、
透過して見えているガラスの「表面」は4面あることを考えてください。

つまり、まず手前のガラス面のこちら側(器の外側の面)、そのガラスの裏側(器の内側の面)、
そして、その向かいにあるガラス面(器の内側)と、その裏側(器の外側)、
それぞれの面で、光の当たり方・反射の違いがある、
それを、四面一度にまとめて見ていることになります。

この事を意識して、焦点を変えてそれぞれの面を観察してみると、
ガラスの向こうに見えるものではなく、ガラスそのものを見る…という感覚が掴めるかもしれません。


また、ガラスは透明と言っても、完全に透明であれば何も見えないはずですから、
器が見えていると言うことは、ガラスを通った光が屈折して、向こう側にあるモノのかたちを
歪ませているだけではなく、ガラスが光を吸収したり反射したりしているからでしょう。
つまり、何もない(見えない)場所よりも明るい部分や暗い部分があるのだと考え、
その変化をよく観察します。

紙の白は、画面の中で最も明るい部分、光の明るさを示すことになりますので、
そうでない部分にはそれなりのタッチを置いても良い事になります。他のモチーフと比較しながら、
ガラス部分の明暗を捉えて線を載せます。


器の底面や切り口、側面など、ガラスの厚みが見える部分には、
コントラストの強い明暗が集まっているところがあります。
こういう箇所は、ガラスの質感の表現のポイントになります。

よく見ると、ここにも、周囲の色々なモノが、かなり歪んだかたちで映り込んでいることがわかりますが、
ほとんどの場合、映っているものはかたちを特定できるほどの大きさにはならないと思いますので、
ここは、背景かどうかなどあまり難しく考えすぎない方がよいと思います。
ガラスは、常に周辺の光と影を取り込んで、厚みの部分にそのコントラストが集まる…と考えて描写し、
描いてみたあとで、画面全体のバランスを見て、明暗を調整しながら仕上げて行きます。


このようにして、不要なモノを区別して取り除きながら、ガラスそのもの、
ガラスらしい特徴が見えている部分を探し、ていねいに観察して描写します。


しかしこのようなことを頭で理解しただけでは実際には処理が難しいかもしれません。
そんな時は、テッテイテキに、見えたとおり、見えるモノは全て捉えるつもりで描いてみる経験も有効です。

前述の説明に矛盾するようですが、背景であろうと、とにかく見えるモノをすべて捉えるつもりで
描き込んでみてください。
机の上に小さいグラスをひとつ置いて、それを時間をかけてじっくり描き込んでも良いと思います。

そうして描き上げた自分の作品を、客観的な目で見て、余分な要素を探してみます。
明らかに「ガラスそのもの」ではないと判断できる部分を探し、取り除いてみます。
このような作業を何度か経験するうちに、ガラスのとらえ方が実感できるようになると思います。


ガラスはこう描く…という事を覚える必要はありません。
ですが、どのように観察すれば、「ガラスそのもの」が見えるのか…という事については、
自分自身で経験して、観察のポイントを知っておくことが役に立つかもしれません。
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by hiratsukadessan | 2011-07-01 03:14 | デッサン技法