カテゴリ:デッサン技法( 12 )

現在、平塚デッサン塾では、数名が自画像課題にチャレンジしています。
絵画作品での自画像は、まさに自己を表現するテーマとして様々な感情やmessageを込めて描かれるモチーフですが、
基礎段階のデッサンとしては、まず基本的な人物描写の練習と捉えて、
鏡の中の自分をできるだけ客観的に観察して描写したいところです。

大きな鏡を使用できれば、全身像も描きたいですが、まずは胸から上くらいの範囲で、
B2や木炭紙サイズ程度に、ほぼ実物大で描けると良いでしょう…

これは石膏デッサンにも言えることですが、人物は、どうしても顔に目が行きやすく、
また、「顔が似ている」かどうかが気になりがちです。

しかし、他のモチーフを描くのと同じく、人物の場合でも、まず全体の大きなかたちの成り立ち、
バランス、構造、面の関係を正確に捉えることが大切です。
体の向き、肩と首の関係、首と頭部の関係、頭部のかたち、奥行きや量感等々、
全体としての人体が正しく捉えられていないと、結局、顔面もうまく描き込めません。


顔面について少し詳しく書きますと、まず頭部の骨格から見ていく必要があります。
頭部は、正面、側面、頭頂部、アゴの下の面など、向きの大きく異なる面が繋がっているわけですから、
その面の変化をしっかり観察し描写します。

頭部の骨格を正しく捉えられれば、目鼻の位置や大きさも定まってきます。
顔の印象を決める目鼻などは、それぞれのかたち以上に、位置と大きさが重要です。
パーツを描こうとせず、ほお骨の位置や、下あごのかたち、額の骨格などに注目して
面を描いていくと、目の位置、鼻の位置、唇のかたちなどは決まってきますから、
そこに正確な調子を描き込んで行けば、自然な顔の表現ができるはずです。

目、鼻、口などに対しては、観念的なイメージが強い事が多いので、
特に描き始めは、できるだけ冷静に観察して、見えるものだけを描写する事を心がけてください。
細かい部分になりますが、例えば唇は、上下のリップラインではなく、
真ん中の、口のラインの位置と長さを取る。上唇は下向きの面、下唇は上向きの面です。
そして下唇の下にはやはり下向きの面があります。
輪郭線ではなくこのような面の関係でかたちを見ることが大切です。

髪の表現では、顔面と髪の部分を分けて描きすぎないように気をつけます。
額の表現からつなげるようにして地肌も描く気持ちで描きます。また髪は一本一本ではなく、
カタマリを見つけて、面で調子を取って行きます。
描き込みが進み、調子が深く入れば、額や頬にかかる部分、後頭部や頭頂部に回り込む部分、
などの見え方の違いをしっかり観察して、頭部の奥行きを表現してください。


顔まわりについて、細かいところを書きましたが、こういった細部は、
頭部と体全体のおおまかな関係が正しく表現できて、描き込みが進んでからの描写になります。

胸から上くらいの範囲で人物を描く場合、頭部と上半身を繋ぐ首の描写は、
人体の量感や姿勢を表わすためにとても大切です。
耳の下、アゴの下、など、頭部と首の関係、距離がどのようになっているのか、
また、肩や背中とのつながりも、よく観察してください。
そして当然ながら肩の描写も大切です。肩から背中へのまわりこみ、
画面に入らないかもしれませんが腕との関係、胸にかけての面の変化など、
衣服の下にある体の厚みをしっかりと表現します。


人物デッサンのチャンスはなかなか容易く得られないことが多いので、
最も身近な自分をモデルとして、人体を客観的に観察しましょう。
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by hiratsukadessan | 2011-10-25 03:08 | デッサン技法
(1)の続き・・・・


大切なことは、まず、ガラスそのものを見る…という意識を持って、観察することです。

ガラスのかたちの中に見えてはいるけれども、ガラス越しの背景は、
ガラスそのものではありませんし、映っている周辺も同じです。

ガラスそのものを観察する…ためのヒントとして、
例えば、置かれている透明なガラスの器を横から見た場合、
透過して見えているガラスの「表面」は4面あることを考えてください。

つまり、まず手前のガラス面のこちら側(器の外側の面)、そのガラスの裏側(器の内側の面)、
そして、その向かいにあるガラス面(器の内側)と、その裏側(器の外側)、
それぞれの面で、光の当たり方・反射の違いがある、
それを、四面一度にまとめて見ていることになります。

この事を意識して、焦点を変えてそれぞれの面を観察してみると、
ガラスの向こうに見えるものではなく、ガラスそのものを見る…という感覚が掴めるかもしれません。


また、ガラスは透明と言っても、完全に透明であれば何も見えないはずですから、
器が見えていると言うことは、ガラスを通った光が屈折して、向こう側にあるモノのかたちを
歪ませているだけではなく、ガラスが光を吸収したり反射したりしているからでしょう。
つまり、何もない(見えない)場所よりも明るい部分や暗い部分があるのだと考え、
その変化をよく観察します。

紙の白は、画面の中で最も明るい部分、光の明るさを示すことになりますので、
そうでない部分にはそれなりのタッチを置いても良い事になります。他のモチーフと比較しながら、
ガラス部分の明暗を捉えて線を載せます。


器の底面や切り口、側面など、ガラスの厚みが見える部分には、
コントラストの強い明暗が集まっているところがあります。
こういう箇所は、ガラスの質感の表現のポイントになります。

よく見ると、ここにも、周囲の色々なモノが、かなり歪んだかたちで映り込んでいることがわかりますが、
ほとんどの場合、映っているものはかたちを特定できるほどの大きさにはならないと思いますので、
ここは、背景かどうかなどあまり難しく考えすぎない方がよいと思います。
ガラスは、常に周辺の光と影を取り込んで、厚みの部分にそのコントラストが集まる…と考えて描写し、
描いてみたあとで、画面全体のバランスを見て、明暗を調整しながら仕上げて行きます。


このようにして、不要なモノを区別して取り除きながら、ガラスそのもの、
ガラスらしい特徴が見えている部分を探し、ていねいに観察して描写します。


しかしこのようなことを頭で理解しただけでは実際には処理が難しいかもしれません。
そんな時は、テッテイテキに、見えたとおり、見えるモノは全て捉えるつもりで描いてみる経験も有効です。

前述の説明に矛盾するようですが、背景であろうと、とにかく見えるモノをすべて捉えるつもりで
描き込んでみてください。
机の上に小さいグラスをひとつ置いて、それを時間をかけてじっくり描き込んでも良いと思います。

そうして描き上げた自分の作品を、客観的な目で見て、余分な要素を探してみます。
明らかに「ガラスそのもの」ではないと判断できる部分を探し、取り除いてみます。
このような作業を何度か経験するうちに、ガラスのとらえ方が実感できるようになると思います。


ガラスはこう描く…という事を覚える必要はありません。
ですが、どのように観察すれば、「ガラスそのもの」が見えるのか…という事については、
自分自身で経験して、観察のポイントを知っておくことが役に立つかもしれません。
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by hiratsukadessan | 2011-07-01 03:14 | デッサン技法
静物デッサンのモチーフとしてよく使われる物のひとつがガラス製の容器です。
デッサンでは、見える物を見えるとおりに描くのが原則ですが、ガラス製品を描く場合は、
その点で少し、難しく感じるところがあるかもしれません。
背景を描かない事が多い鉛筆静物デッサンの場合に、透明なガラス越しに見える背景部分を
どうするかという問題です。
また、金属や陶器などの描写でも同様に気になる映り込みの問題もあります。

ガラス越しに見える背景や、ガラス表面に映る周辺のモノをすべてそのまま描くと
器の向こう側だけに背景ができたり、画面には描かれていない物が映り込んだりすることになり、
それは、仕上がった画面の中では、ガラスに色や模様があるかのように見えてしまって、
不自然な印象を与えます。


従って、反射・映り込みについては、原則として、
画面に描くモチーフが映っているものは描写する、それ以外のモノは、描かない…事を基準にするのですが、
室内であれば、光源である照明器具や窓などが、何カ所かハイライトになってガラス面に映っていると思います。
これについては、他のモチーフにも同じ光源からの光が当たっていることを考えれば、
ハイライトを描いても不自然にはならないと考えられます。

またこのようなハイライトの描写がガラスの質感を表現しますので、これは積極的に描写して良いと思います。
ただし、あまりに克明に、照明器具の詳細なかたちまで描写すると、不自然に見えてしまう可能性が高いので
注意します。(これは、画面全体の描写の細密度のバランスに関係します。)

ガラス越しに見えるものについても考え方は同じで、セットしたモチーフが、
ガラスの向こう側に見えているのであれば、当然、見えるままに描きますが、
背景を描かず、バックを紙の白で制作する場合に、実際には、向こう側の壁や床、
あるいは向かいの席にいる人物などが見えていたとしても、それは描かず、
背景が白い状態を想定して描く事になります。

これがムズカシイ場合は、白い紙をガラスの後ろに立てかけるなどして、
実際に背景が白い状態を見てみると良いでしょう。


では、映り込みも、透けて見えるモノも、実際見えているものを描かず、
その部分はどう表現するのかという問題ですが、、、、

(2)に続きます。
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by hiratsukadessan | 2011-07-01 03:08 | デッサン技法
このようなことは、まず自分で積極的に数多く試してみることが重要ですが、
ポイントとなるのは、硬度による、タッチ(筆触…つまり線の表情)の違い、
調子を出すための線の密度の違い、そして鉛筆の色合いの違い…といったところでしょうか。


例ですが…… モチーフの、台に映る影を描写しようとする場合、
同じ程度の暗さでも、4Bによる調子と、HBによる調子とでは、かなり印象が違うはずです。
比較すると、4Bで作った調子は粗く、HBによるものの方が線の密度が高くなり、
4Bによる影は、少し浮き出て見えてしまう…というようなことがあります。

モチーフの状態や、光の状態、台の部分の素材があるのかどうかにもより見え方は変わりますし、
また、実際には、4Bだけ、HBだけ…で影を描くという事はないでしょうし、
上記は説明のための、【例え】です。
影は4Bで描いてはイケナイ…等というつもりはありません。…が、これに近いことはよく見受けられます。


同様の効果の応用として、同じ色で、更に光の条件もほぼ同じであるモチーフの、
近い部分と遠い部分を、描き分けたい…というようなとき、
同じ調子を、4Bで出すのと、Bで出すのとの違いを利用する事ができるかもしれません。


下地を4Bで作り、上からFのタッチを重ねるのと、逆に、下地をFで作り、4Bを重ねるのと、
どのような違いがあるのか、無いのかを知っておく…等というようなことも、
何らかの表現に役立つかもしれません。

硬度の使い分けによる様々な表現は、実際のデッサンの制作の過程で、少しずつ実験するつもりで、
積極的に試していくようにすると良いと思います。


が、デッサンはあくまでも観察が主体ですから、
まず観察して、感じ取った、表現したいものを、どう表現するか…というときに、
鉛筆の技法を工夫してみる、というスタンスでなければいけません。

こういう鉛筆を使えばこう見えるはずだ…というようなテクニック先行の表現になってしまっては、
デッサンとしては弱い、リアリティのないものになってしまいますので注意が必要です。
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by hiratsukadessan | 2010-10-27 03:39 | デッサン技法
一般的に、デッサンの描き始めには、2B〜3B程度が適していると思います。
構図を決め、配置を探り、かたちの大まかなアタリを取る作業の段階です。

この段階では大まかな線を用い、細部の描写はしませんから、
芯は柔らかめのものを使って、軽い筆圧で、大きなタッチを描くようにします。

ここでは、あとで修正を行なうことや、上に線を描き加えていく事を考えなければなりませんが、
描き始めの白い画用紙に対して、薄い線では、目安になりにくく、
そのため、硬い鉛筆を使うと、どうしても筆圧が高くなり勝ちで、画用紙の目を潰してしまったり、
画用紙に跡を残す事が多くなります。

しかし、最初は、かたちや位置を探るアタリの線や補助線など、多くの線を使うので、
軟らかい5B、6Bとなると、それらの線が重なり黒くなり過ぎ、最終的に明るい調子を出したい部分などに
余分な暗さが出て、調子の幅が狭くなることに繋がりやすいです。

従って、描き始めは、後の作業がしやすいように、中間程度の鉛筆を使用します。

その後、ある程度かたちを描き込む段階までは、このまま進め、
全体に大きな調子を入れる段階になれば、少し柔らかめの鉛筆に変えて、大きな調子をつけると良いでしょう。

大きな調子を入れる際は、細かい面の変化は無視して、大きなタッチで調子を作ることになるので、
この時の線は、粗いものになります。
この粗い線が最後まで残ると、微妙な表現の邪魔になる場合がありますから、
上に重ねる線にうまく溶けこんでタッチが消えていくようにするには、柔らかめの鉛筆が
適しています。また、後に練りゴムの効果も出しやすいです。

基本的に、硬めの鉛筆は画用紙の目を潰しやすいので、硬い鉛筆を多く重ねて作った調子は、
その上に軟らかい鉛筆を重ねても、それ以上の暗い調子が出にくくなります。
そして、硬い鉛筆のタッチは、軟らかい鉛筆よりも練りゴムが効きにくいという面もありますので、
ベースとなる作業には、硬い鉛筆を使う事は避けた方が良いです。

仕上げに近づいて細部の描写が多くなると、細かい表現には、硬めの鉛筆の方が向いています。

また、(1)に書いたように、軟らかい鉛筆で作った調子の上に、
少し硬めの鉛筆のタッチを重ねる事によって、更に深い調子を出すこともでき、
つまり、軟らかい鉛筆による調子に、硬めの鉛筆を重ねる事で、
より微妙な調子の変化を作り出すことが可能になります。

ですから基本的な流れとしては、軟らかめの鉛筆で描き始め、調子を入れ、
段階を追って、硬めの鉛筆で仕上げて行く…というようなものになりますが、
実際は、描き込みが進むと、素材感・質感、色合い、量感、奥行き、等、様々の表現のために、
鉛筆の硬度を使い分け、その効果を活用することになります。
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by hiratsukadessan | 2010-10-27 03:25 | デッサン技法
平塚デッサン塾では、2H H F HB B 2B 3B 4B 5B 6Bの10本の鉛筆を用意して頂きます。
表現の幅を拡げるためには鉛筆の硬度の使い分けも重要です。

以前の記事に書いたように、例えば同じ2Bでも、鉛筆メーカーが違えば、色合いも硬度も
変わってしまいますが、大切なことは硬度の【関係】を使い分ける事ですから、
まずはひとつのメーカーで揃えた鉛筆のそれぞれの硬度の違いを経験して、
自分に合った表現を探ってみてください。

人によって、筆圧やタッチの癖など、鉛筆の使い方にはそれぞれ微妙な違いがあり
「好み」の問題もありますから、細かいことは使う人自身が、実際に試して経験を積んで
理解していくのがいちばんです。


ここでは硬度の違いをどのように使い分けるかについて一般的なところを書いておきます。

鉛筆の先を見ると、柔らかい芯ほど太いのがわかりますが、従ってタッチ一本一本の太さは、
軟らかい鉛筆ほど増します。
4B、6Bなど「B」の数が大きくなる程、芯は軟らかく、軽い筆圧でもしっかりとした黒さが出ます。

例えば、2Hと2Bを使い、同じ程度の筆圧で同じくらいの本数の線を並べた面を作ってみると、
硬い2Hで作った面の調子は淡く、やわらかい2Bによる面の色の方が濃くなります。
また、たとえば2Hと2Bとで、それぞれ同じ程度の濃さのグレーを作ろうとすれば、
2Bでは軽く少ない線で、2Hではかなり多くの線を重ねなければ、同じ位の調子を出すことは難しいでしょう。

これを、単純に応用すると、明るい面をしっかりと描きたい場合には、
線の密度を高めてもあまり暗くならない硬めの鉛筆を使用すれば、描写しやすいことになり、
暗い・或いは色の濃い面を描き込む場合は、軟らかい鉛筆を使用すれば、
濃度の高い深い調子が出やすい事になります。

しかし、確かに、軟らかい鉛筆の調子は、深い強い暗さが出ますが、4B・5B・6B等で
線を多く重ねていくと、粉が浮いたようになり、それ以上の調子が乗りにくくなることがあります。
このような場合は、一旦、HB等の少し硬めの鉛筆のタッチをその上にかけて
粉を抑えるように落ち着かせると、更に深く濃度が出ます。
必ずしも軟らかい鉛筆だけで濃い色を出せるという訳ではありません。

そして、鉛筆の硬度の違いは、単純に濃淡の表現だけではありません。
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by hiratsukadessan | 2010-10-27 03:18 | デッサン技法
調子は線の集まりでできていますから、たとえ輪郭線が描いてあっても、それも調子を構成する要素
となってしまえば、一本の線として浮き上がって見えることはありません。
だからどうしても輪郭をシャープにくっきり出したかったら、
敢えて【輪郭線】を描き、その線が一本の輪郭線として浮き上がって見えなくなるまで、内側の調子を
描き込んで行くという方法も考えられます。

しかし普通は、密度のある線によって面が描き込まれていけば、別の部分との【境界】は、
そこにわざわざ輪郭線を入れなくても、既にしっかりと表われているはずです。
それにもかかわらず、輪郭線を入れないとかたちが見えないとしたら、
その部分の【調子】が正確に描かれていない事が一番に考えられます。


輪郭線があるのはどんなところかというと、
ものともの(またはかたちの部分と部分)の重なり合うところ、かたちが大きく変化するところ、
バック(バックを白で描いている場合は余白)とモチーフとの境界、…の、どれかではないかと思います。

ものとものとの重なりあう部分またはかたちの変化する部分に、その境界として、輪郭線が入っている場合は、
単純に、境界を隔てて、どの部分はどちら側が、より暗いのか、明るいのか、色彩の濃淡を含めて、
違いが必ずあるはずですから、それをていねいに観察し、見えている通りの関係になるよう、
画面の調子を正しく整え、輪郭線を調子に溶けこませます。

それから、その部分を基準にして全体の調子の関係を見直します。
この観察は、画面全体の調子の流れをつかむための重要な作業になります。


次に、バックとの境界の輪郭線の場合、前稿に書いた回り込みの観察不足だけではなく、
バックを描かない事が多い鉛筆デッサンでは、実際にはバックに暗い色があって、
手前のモチーフの面が明るい、淡い調子であると、余白とモチーフとの境界をどう表現したらいいか
わからなくなる事も多いかもしれません。

このためということではありませんが、鉛筆デッサンでは、原則として、どんなに明るい面でも、
鉛筆のタッチをまったく入れない画用紙の白のままで残すことはせず、
すべて調子を入れて全体の関係を描き込むようにします。

画用紙の白が残るのは、金属などのごく一部に入る光の反射などの非常に明るい部分に限り、
それ以外の面については、より暗い面を作ることで、明るさを感じさせると考えて
調子の幅を作っていきます。

ですから、余白部分と隣り合う明るい面についても、鉛筆の硬度の選び方やタッチの工夫などで、
明るさを保ちながら、線の密度を作るようにします。
これでほとんどの場合は、明るい部分も輪郭線を使う必要はなくなるはずです。

また、練りゴムによって、余分な汚れや線を取り去ることで、
くっきりとしたシルエットが出てくるかもしれません。

どうしても弱い場合、線として浮かび上がって見えないように正しい調子を取ることを注意しながら、
かたちを取り囲む線を入れることもあるかもしれませんが、これは例外的な処理と考えておいた方が
良いと思います。


いずれにせよ、よく観察し、適切な調子を描写することに尽きると言えますが、
こうして、線の密度が出て来た段階で、輪郭部分をチェックしていくことにより、
回り込む面の観察や、調子の表現の幅を拡げる観察の手がかりを得てください。
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by hiratsukadessan | 2010-10-22 01:50 | デッサン技法
描き込みが進み、線の密度が出て来れば、輪郭線は調子に埋もれて見えなくなって来るはずです。
この段階で、自分の画面を客観的に眺めてみて、
もし(無意識のうちに)輪郭線を強めていたり、まだ輪郭線が残っている箇所が
みつかったら、その線部分は、実際にはどうなっているのか、モチーフを改めて観察してください。

輪郭線が入っているのは、かたちの【回り込み】という重要な部分であることが多く、
そこに線を描き入れているとしたら、重要な【回り込み】の観察ができていないことになります。


デッサンで立体を表現するには、見えない部分がどうなっているのかをも感じさせる表現を、
目指さなければなりません。
目の前にあるのが、立てた円盤なのか球体なのか、普通の日常生活で、横にまわって見なくても
わかってしまうものなら、デッサンでも描き分けられなくてはいけません。

どうすればそれが描けるのかは、
自分が、目の前のものを見て、何を感じ取っているのか、を、探し見つけ出すしかありません。
そのひとつの大切な手がかりは、回り込む面の観察と描写です。

ということは、当然、輪郭線に囲まれた【内側】部分だけの観察では不充分で、
かたちの回り込む面の部分、つまりまさに輪郭線上の、見えなくなっていくぎりぎりの部分まで、
しっかりと目をこらして観察する必要があります。

視界から見えなくなっていく面はどのように変化していくのかを描くべきなのです。
そこに輪郭線を置いているのは、この重要な観察をしていないことになります。

輪郭線のある場所をよく観察することこそ、立体の表現のための、とても重要なポイントです。
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by hiratsukadessan | 2010-10-22 01:41 | デッサン技法
大まかな輪郭線を目安として描き始め、観察を重ね、段階を追って、見えてきたものを
描き込んで行きますが、
描き込みが進み、線の密度が出てくると、最初に描き入れた輪郭線は、重ねたタッチに埋もれて
見えなくなってきます。

そこで、見えなくなった【輪郭線】を、より強い線で描き起こそうとしてしまう場合があります。

しかし、目の前のモチーフを見てみると、そこに輪郭線と同じような黒いラインが
実際に見えているケースは、非常に少ないはずです。
デッサンは、見えるものを捉えて表現することによって、その空間のリアリティを人に感じさせようとするものです。
見えていない輪郭線を残してしまって良いのでしょうか。。


輪郭線とは、線で囲んであるからひとつのものだ…という【約束事】によって
人にその画面を理解させようとする【記号】のようなものと言えるのではないでしょうか。
見えたとおりに描いて伝えるのではなく、【約束事】に基づいて伝える…のでは、
その画面は【説明図】のようなものだと考えるのは大げさでしょうか・・・

そんな考え方は別としても、実際の問題として、輪郭線が入ってしまうと、
かなりしっかりと陰影・明暗を観察して、ていねいな調子を入れてあっても、
そのデッサンから空間や立体を感じにくくなってしまうのは事実です。


それは、実際にない線が描かれているからという事以上に、
一本の線は、微妙な調子の変化よりもずっと強く目に入ってしまうために、
せっかく描き込んだ明暗や陰影などを弱め、感じにくくさせてしまうからです。

また、同じような調子で表わされた面は、同じような角度や位置関係を感じさせるのと同様に、
同じような強さ、太さ、色合いの線は、それらがひとつの平面上に繋がっているかのような
視覚効果を与えます。

そして、シルエットの輪郭に当たる部分は、その立体の実際のかたちの上では、空間的な位置関係が同じではなく、
シルエット上の輪郭部分には、実際のかたちでは一本に繋がったラインは存在していないことが
ほとんどだと思います。

そのため、時間をかけてしっかりと描き込んだ調子の変化よりも目立つ、【輪郭線】が、
本来の空間的な位置とは無関係に、全体をひとつの平面につなぎ止めて見せてしまう…
という結果をもたらしてしまうのです。


更に大きなモンダイは、実際にはないはずの輪郭線を描き込んでいるということは
じつは、本当はその部分がどうなっているのか、を、【観察していない】事を示している!という点なのです。
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by hiratsukadessan | 2010-10-22 01:35 | デッサン技法
白い紙の上に、かたちを描いていこうというとき、どのように始めるかは様々な方法があると思いますが、
描き始めはかたちの輪郭(シルエット)を捉えることから…という方法が最も多く一般的なのではないかと思います。

(デッサンの始めの作業は、構図を決めることですが、その事については別に書きます。)

まず紙の上のどこにどんな大きさでどんなかたちを描いていくのか、
シルエット的なかたちを捉えて輪郭線で描くところから入り、
その線を目安にして、観察を進め、描写していくのが基本的な取り組みです。

しかし当然ながらまだこの段階では対象への観察は充分ではありません。
これから時間をかけて観察していくスタート地点ですから、
正確なかたちや微妙なかたちの変化、細部と全体とのバランスなどは、
この段階ではまだ見えていないと考えるべきです。

従って、この段階で描く輪郭線は、
そのあとに観察を重ねる過程で見えてくるものを描き込みやすいように、
また、修正すべきところを見つけた時にできるだけ直しやすいように、
更に、その上に表現して行く調子を重ねやすいように、
できるだけ大まかなラインを用いて、やわらかなタッチで、細部は省略して、
しかし、大きな長さの比率や、大切なポイントの位置など、全体的な割合に関するところは
できる限り正確に捉えるように工夫して描きます。

最初のうちは、どうしても細部が目に入り、気になってしまい、細かい部分を描きたくなるかもしれませんが、
これを省略して大きく捉えるという見方を身につけるのが大切なことなのです。

まず完全な輪郭線を描いてから、陰影を入れていくのではありません。

内側の面の変化が、輪郭部分に繋がっていくのですから、
輪郭を正しく捉えるためには、輪郭内のかたちの正しい観察と描写も必要ですし、
つまり陰影の観察も同時進行で全体の観察を深めて行き、
最終的に、全体の正しいかたちをつかんだときに、正しい輪郭部分の表現が完成する…
ということになります。
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by hiratsukadessan | 2010-10-22 01:29 | デッサン技法