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現在、平塚デッサン塾では、数名が自画像課題にチャレンジしています。
絵画作品での自画像は、まさに自己を表現するテーマとして様々な感情やmessageを込めて描かれるモチーフですが、
基礎段階のデッサンとしては、まず基本的な人物描写の練習と捉えて、
鏡の中の自分をできるだけ客観的に観察して描写したいところです。

大きな鏡を使用できれば、全身像も描きたいですが、まずは胸から上くらいの範囲で、
B2や木炭紙サイズ程度に、ほぼ実物大で描けると良いでしょう…

これは石膏デッサンにも言えることですが、人物は、どうしても顔に目が行きやすく、
また、「顔が似ている」かどうかが気になりがちです。

しかし、他のモチーフを描くのと同じく、人物の場合でも、まず全体の大きなかたちの成り立ち、
バランス、構造、面の関係を正確に捉えることが大切です。
体の向き、肩と首の関係、首と頭部の関係、頭部のかたち、奥行きや量感等々、
全体としての人体が正しく捉えられていないと、結局、顔面もうまく描き込めません。


顔面について少し詳しく書きますと、まず頭部の骨格から見ていく必要があります。
頭部は、正面、側面、頭頂部、アゴの下の面など、向きの大きく異なる面が繋がっているわけですから、
その面の変化をしっかり観察し描写します。

頭部の骨格を正しく捉えられれば、目鼻の位置や大きさも定まってきます。
顔の印象を決める目鼻などは、それぞれのかたち以上に、位置と大きさが重要です。
パーツを描こうとせず、ほお骨の位置や、下あごのかたち、額の骨格などに注目して
面を描いていくと、目の位置、鼻の位置、唇のかたちなどは決まってきますから、
そこに正確な調子を描き込んで行けば、自然な顔の表現ができるはずです。

目、鼻、口などに対しては、観念的なイメージが強い事が多いので、
特に描き始めは、できるだけ冷静に観察して、見えるものだけを描写する事を心がけてください。
細かい部分になりますが、例えば唇は、上下のリップラインではなく、
真ん中の、口のラインの位置と長さを取る。上唇は下向きの面、下唇は上向きの面です。
そして下唇の下にはやはり下向きの面があります。
輪郭線ではなくこのような面の関係でかたちを見ることが大切です。

髪の表現では、顔面と髪の部分を分けて描きすぎないように気をつけます。
額の表現からつなげるようにして地肌も描く気持ちで描きます。また髪は一本一本ではなく、
カタマリを見つけて、面で調子を取って行きます。
描き込みが進み、調子が深く入れば、額や頬にかかる部分、後頭部や頭頂部に回り込む部分、
などの見え方の違いをしっかり観察して、頭部の奥行きを表現してください。


顔まわりについて、細かいところを書きましたが、こういった細部は、
頭部と体全体のおおまかな関係が正しく表現できて、描き込みが進んでからの描写になります。

胸から上くらいの範囲で人物を描く場合、頭部と上半身を繋ぐ首の描写は、
人体の量感や姿勢を表わすためにとても大切です。
耳の下、アゴの下、など、頭部と首の関係、距離がどのようになっているのか、
また、肩や背中とのつながりも、よく観察してください。
そして当然ながら肩の描写も大切です。肩から背中へのまわりこみ、
画面に入らないかもしれませんが腕との関係、胸にかけての面の変化など、
衣服の下にある体の厚みをしっかりと表現します。


人物デッサンのチャンスはなかなか容易く得られないことが多いので、
最も身近な自分をモデルとして、人体を客観的に観察しましょう。
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by hiratsukadessan | 2011-10-25 03:08 | デッサン技法