デッサンの用具(3)はかり棒、デスケール

●はかり棒

デッサンの制作過程では、モチーフのかたちに対する自分の思い込みや観念的な見方に気づくため、また正確な形を把握するための方法として、しばしば【はかり棒】を使って位置関係や大きさの割合などを確認します。

デッサン塾では、長めの鉛筆を使ってこの練習をしますので、はかり棒をわざわざ準備しなくても大丈夫です。
でも、鉛筆では、その太さのために使いづらいこともありますので、はかり方の手順がわかってきたら、専用の【はかり棒】を用意すると、もっと見やすくなるかもしれません。

【はかり棒】は、商品として画材店でも販売されています。
市販品には、目盛りのついた太めの金属棒と針金状の細い棒が二本セットになって、角度も測れる凝ったものも作られていますが、はかり棒で測る作業は、精密な計測とは違いますので、棒に刻まれた細かい目盛りを見てしまうようなことはオススメできません。
はかり棒は、単純にまっすぐな【棒】だけで、充分だと思います。

イザとなると、身のまわりになかなか適当なものがみつからないかもしれませんが、もし次のような条件に合う手頃な【棒】があれば活用してください。

下端を持って立てても撓ったりしないしっかりした素材で、できるだけ均一な太さ(1〜2ミリ程度なら理想的)の、歪みのないまっすぐな【棒】であれば、なんでも構いません。
長さは25〜30センチ程度でしょうか。色々な角度で使いますので、あまり長いとあちこちに引っかかり使いにくいです。

はかり棒の使い方については、また改めて書きたいと思います。少しお待ちください。


●デスケール

多分【デスケール】は商品名かと思いますが…ハガキサイズ程度のアクリル板で、マス目の入った透明な窓の周りを黒い枠が囲っている…と書けば伝わるでしょうか。。
画用紙の規格サイズと同じ比率の窓が作られた枠です。
この窓の中に、画面を分割するように細いラインが入っています。
昔は、糸と厚紙などで手作りしていたものですが、現在は正確な比率で見やすく作られた製品が売られている、その商品名です。

私は、これは必ずしも必要ではなく、むしろ間違った使い方をすると、なかなか形の取り方が理解できない原因になることもあるので、注意が必要だと思っています。
もちろん有効な使い方もありますので、使ってはいけないという意味ではありません。

この道具は、目の前にある空間や立体を、画用紙の中にどう納めるのか、奥行きのある3Dの世界を、2Dのシルエットに置き換えて、平面的な構図を考えるという、視点の変換作業に役立ちます。
この枠を通してモチーフを見ることは、画用紙の比率の枠内にどのように納まるかのイメージを確かめる手がかりになります。

ただし、これに頼って形を測る作業まで行おうとすると、狂いが出てきます。
枠内の分割線などが、一見精密に見えるため、これを通して見える比率などを信じ切って描こうとしてしまうのは危険です。

実際は、デスケールの持ち方の違いによる、ほんの僅かの角度の違い、また、自分の目とデスケールとの位置関係の、ほんの僅かな違いによって、枠と、枠を通して見えるものとの関係はかなり変化します。
従って、デスケールを持ってモチーフを見る度毎に、分割線や枠線とモチーフとの関係は変化すると言っても大げさではありません。
これに気づいて目と手の位置を常に正確に保ちながら形を見ることが可能であれば、デスケールによってかたちをとることも可能と言うことになりますが、実際にはそれは非常に困難な作業であり、
また、何よりも、このような方法では、自分の目で正確に比率や位置関係を見極められるようになるための適切なトレーニングにはなりにくいのです。

少し長くなりすぎましたが、このような点に注意しながら、立体を平面に置き換えて画面に納めるという視覚の変換プロセスの補助として使用するのであれば、デスケール(手作りも含め)は、意味のある道具のひとつだと思います。
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by hiratsukadessan | 2010-09-30 04:22 | デッサンの用語