輪郭線(4/4)…輪郭部分の処理

調子は線の集まりでできていますから、たとえ輪郭線が描いてあっても、それも調子を構成する要素
となってしまえば、一本の線として浮き上がって見えることはありません。
だからどうしても輪郭をシャープにくっきり出したかったら、
敢えて【輪郭線】を描き、その線が一本の輪郭線として浮き上がって見えなくなるまで、内側の調子を
描き込んで行くという方法も考えられます。

しかし普通は、密度のある線によって面が描き込まれていけば、別の部分との【境界】は、
そこにわざわざ輪郭線を入れなくても、既にしっかりと表われているはずです。
それにもかかわらず、輪郭線を入れないとかたちが見えないとしたら、
その部分の【調子】が正確に描かれていない事が一番に考えられます。


輪郭線があるのはどんなところかというと、
ものともの(またはかたちの部分と部分)の重なり合うところ、かたちが大きく変化するところ、
バック(バックを白で描いている場合は余白)とモチーフとの境界、…の、どれかではないかと思います。

ものとものとの重なりあう部分またはかたちの変化する部分に、その境界として、輪郭線が入っている場合は、
単純に、境界を隔てて、どの部分はどちら側が、より暗いのか、明るいのか、色彩の濃淡を含めて、
違いが必ずあるはずですから、それをていねいに観察し、見えている通りの関係になるよう、
画面の調子を正しく整え、輪郭線を調子に溶けこませます。

それから、その部分を基準にして全体の調子の関係を見直します。
この観察は、画面全体の調子の流れをつかむための重要な作業になります。


次に、バックとの境界の輪郭線の場合、前稿に書いた回り込みの観察不足だけではなく、
バックを描かない事が多い鉛筆デッサンでは、実際にはバックに暗い色があって、
手前のモチーフの面が明るい、淡い調子であると、余白とモチーフとの境界をどう表現したらいいか
わからなくなる事も多いかもしれません。

このためということではありませんが、鉛筆デッサンでは、原則として、どんなに明るい面でも、
鉛筆のタッチをまったく入れない画用紙の白のままで残すことはせず、
すべて調子を入れて全体の関係を描き込むようにします。

画用紙の白が残るのは、金属などのごく一部に入る光の反射などの非常に明るい部分に限り、
それ以外の面については、より暗い面を作ることで、明るさを感じさせると考えて
調子の幅を作っていきます。

ですから、余白部分と隣り合う明るい面についても、鉛筆の硬度の選び方やタッチの工夫などで、
明るさを保ちながら、線の密度を作るようにします。
これでほとんどの場合は、明るい部分も輪郭線を使う必要はなくなるはずです。

また、練りゴムによって、余分な汚れや線を取り去ることで、
くっきりとしたシルエットが出てくるかもしれません。

どうしても弱い場合、線として浮かび上がって見えないように正しい調子を取ることを注意しながら、
かたちを取り囲む線を入れることもあるかもしれませんが、これは例外的な処理と考えておいた方が
良いと思います。


いずれにせよ、よく観察し、適切な調子を描写することに尽きると言えますが、
こうして、線の密度が出て来た段階で、輪郭部分をチェックしていくことにより、
回り込む面の観察や、調子の表現の幅を拡げる観察の手がかりを得てください。
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by hiratsukadessan | 2010-10-22 01:50 | デッサン技法